ナウは創作モンスター

aka ヒサシ。自分が書いたマンガや文房具の話。

オランジーナを飲み続けた男の末路

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私はフランス生まれのジュース、オランジーナが大好きである。

orangina.jp

 

オランジーナには果肉片が配合されており、

開封前にゆっくり振ると沈殿した果肉が浮き上がり、より美味しく飲むことができる。

 

見方を変えれば、

「炭酸飲料なのに振らなくてはならない」という

開封時に噴きこぼれるリスクを高める行動を消費者に強いる、

なんともアンビバレントな仕組みを備えているということになる。

(そうした自分の性向をかんがみての「微炭酸」なのだろう)

 つまり、

オランジーナは

人間の深層心理に潜むエロスとタナトスの二面性の体現に

成功している飲み物といっても過言ではない。

 

だから、

ペットボトル1本飲み干すころには、

生身の人間一人と深い交流を果たした後のような充足感が得られる。

 

端的に言ってしまえば

「クソうめえ」ということになる。

 

去年の夏の出来事

 

ジュースを飲むと「水分補給」と「糖分補給」がいちどきに達成される。

 

砂糖の入った水分を摂取したい時、

私は以下のエントリーにあるようにコカ・コーラを好んで飲んでいた。

 

monsternow.hatenablog.com

 

大体の方がご存知かもしれないが、

コーラにはカフェインが配合されている。

 

わたくし個人的に抱える最近のコーヒー飲み過ぎ・カフェインとり過ぎ問題もあって、

(誰もキョーミねーよ)

 

去年の夏はオランジーナを頻繁に飲んでいた。

 

 飲む本数が増えれば増えるほど、どんどんオランジーナのことを好きになっていった。

 

かわいい子供や孫を「目に入れても痛くない」という表現があるように

おいしいオランジーナ(のペットボトル)を「アナルに入れても痛くない」

といってもいいほど好きになっていった。

 

……。

 

オランジーナを飲むことが習慣になってしばらく経つと

「果物を摂取したい」という欲求が

オランジーナを摂取するだけで満たされていくことに気がついた。

 

要は、

オランジーナが美味しいし、飲みたいので

本物の果物は食べたいと思わない(だから買うこともない)という状態になるのだ。

 

「オランジーナって本物のオレンジよりも美味しいんじゃないの!?」

 

 

結果、

果物を一切摂取せず、代わりにオランジーナを飲むという日々が二ヶ月ぐらい続いた。

 

オランジーナを飲むたびに、いつまでもあくことなき新鮮な「うまい!」という感情が沸き起こっていたため

脳が変な学習をしていくことになった。

 

それは

「オランジーナは本物の果物よりおいしい」

「オランジーナの美味しさを100と数値化したとして、

本物の果物はこの100を超えることは絶対にない」という強烈な自己暗示である。

 

 

「炭酸なのに飲む前に振らなきゃいけない」というギャップにひかれて飲み始めたジュースに

気がつけばどっぷりハマり、脳みその思考回路まで作り変えられてしまったのだ。

(それは丁度、ドメスティック・バイオレンスのいびつな仕組みで結ばれているカップルのようだ)

 

カットパイン・ショックは突然に

 

イギリス出身のロック・バンドが世界を席巻した「ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵略)」のように

私の身体と心を魅了していったオランジーナ。

 

フランス生まれのドリンクと出会った私は完全に「フレンチ・インヴェイジョン」されたも同然である。

 

そんなさなか、

私は夕方のスーパーマケットの青果部コーナーで運命的な出会いを果たす。

 

それは、一口サイズに切られたパイナップルが透明のパックに詰められた「カットパイン」という商品である。(カラフルなピックも同梱されている)

 

普通ならば、オランジーナにハマっている私がこの商品に目を止めることは絶対になさそうなものだが、

 

人の注目を集める施術がこのカットパインには施されていた。

 

2割引シールである。

 

ラベルによれば今日加工された(カットされた)ばかりであるらしい。

それが夕方の時点で割引シールが貼られてしまうのか……

 

「そもそも、収穫されて日が経って熟成がすすんだ個体(パイン)がカットされた商品なのかもしれない」

 

などと考えていると、カットパインの隣に陳列された(切られてない普通の)パイナップルの値段に目が行く。

 

どうやらこの2割引きのカットパインは相当コスパが良いらしい。

 

というわけで

その日はスーパーで(コンビニより)安く買えるオランジーナを買わずにカットパインを購入したわけだ。

 

 

割引シールが貼られていた食品を長時間食べないでおくというのは何となく気持ち悪いから

買い物から帰宅した後、すぐにカットパインを食べた。

 

……?!

 

一口、パインを口にした瞬間、私の腰は砕け、スクワットのようにしてしゃがみ込んでしまった。

 

あまりにも美味しすぎたのだ。

 

オランジーナによって二ヶ月以上調教されてきた私の舌、脳

植え付けられた歪んだバイアス。

 

オランジーナより美味しい果物なんてこの世に存在しないんだよ

 

そんなの嘘だ!(「パリーン」←偽りの世界が崩壊する音)

 

オランジーナの美味しさを100とするならこのカットパインは150ぐらいあるだろう!

 

私は目をむいて「うめえ!」と一人叫んだ!

 

誰かの悪意などではなく、知らず知らずのうちに自己催眠にかけられていた脳の暗示が一気に解除されるっ!

 

……。

 

ブログに載せるために盛ったりだとか、そういうことは一切ない。

 

本当に経験した、私の中だけで完結している真実である。

 

十二分に熟成されたカットパインが私をオランジーナの呪縛から解き放ってくれたのだ。

 

実りの秋がやって来た

 

そうして本物の果実の美味さを思い出した私は、いままでになく沢山の果物を買うようになった。

 

包丁を使って皮をむくことが難儀に感じていた、梨、りんご。

バナナ、ミカンはもちろん、ミカンより皮をむくのが面倒くさいイヨカンなども結構買った。

 

……。

 

オランジーナによって洗脳されてしまった去年の夏の出来事を思い返し、私はこの現象に名前を付けることにした。

 

コンコルド錯誤」という心理現象からとって

「オランジーナ錯誤」というのはどうだろうか。

 

××××××××××××××××××××××

本物の果物の値段が高かったり、そもそも入手が難しい時に、その代替品としてオランジーナを摂取する。

そして、代替品ばかりに接しているといつのまにかそのオリジナルの価値を忘れ

代替品とオリジナルの評価が全く同じか、時には代替品がオリジナルを凌駕するように思い込みはじめる。

××××××××××××××××××××××

今回私が体験した現象を「オランジーナ錯誤」と私は名付けた。

 

この歪んだバイアスから抜け出すためにはオリジナルにもう一度立ち返れば良いだけだ。

 

ただ、

数ヶ月という長い期間ずっと心理的な罠に捕らわれ続けたため、

今回のオランジーナ錯誤から目が覚めた瞬間は大きな衝撃をともなうことになった。

 

この出来事を私は「カットパイン・ショック」と名付けた。

 

……。

 

夏にオランジーナ錯誤におちいり、カットパイン・ショックを経て実りの秋を迎えた私は、

精神的にかなり成長できたのではないかと思う。

 

 

横着しないで包丁で皮をむかなきゃならない果物を買う。

果物を買う習慣があるのでそれぞれの商品の値段相場も把握するようになった。

オランジーナを飲んで美味いと感激しても次の日には果物に戻ってくる。

 

 

オランジーナ錯誤を経験克服適切な距離で付き合えるようになり、

私はまた大人の男として一歩前進したのだ。

 

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ペロンっ」(ヨッシーの声で再生)

 

最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。